善も悪も成し得る不定心所

悔・睡眠・尋・伺の四つの不定心所は、場合によって善心所に属することもあれば、悪心所に属することもあります。具体的な状況、達成される結果、その時の状態と指向する結果によって判断されます。貪欲な睡眠であれば、睡眠は悪心所となり、心の昏沈と愚痴を引き起こします。睡眠が精神状態を調節し修行に有益であるならば、善心所に属します。悔については、もし人が常に無智に過去を悔やみ、以前のように行動すべきでなかったと後悔し、心が煩悩に乱れ定力がなく智慧が生じないなら、悔は悪心所となります。もし悪事を犯した後、速やかに懺悔し再び造らぬと決心し、悔過の後心が清浄となり定慧が生じるなら、悔は善心所となります。

尋については、意識心が目的なくあちこちに攀縁し、定力がなく心が散乱するなら、尋は悪心所に属します。意識心が真理を思惟探求する場合、例えば第八識を参究探求するならば、善心所に属します。伺については、内心が世俗法を伺察し心神定まらず、正智の生起を妨げるなら悪心所となります。もし仏法の真実義を明らかにするため目標を持ち、専一に深細に思惟するなら、善心所に属します。