飲食も禅定に影響を与える重要な要素である。体内に必要以上の栄養素を摂取すると、身体に反応が現れる。その後、識心に影響が及び、識心の反応はやや躁動不安となり、心の念が清浄でなくなり、感情を制御しにくくなったり、強制的な制御が必要となったりする。
これらの栄養には魚肉類・煙酒類・葱蒜類などの葷腥物質だけでなく、素食も含まれる。素食であっても栄養過多になれば、身体と情緒に過激な反応を引き起こし、身心の負担が増加し、心が清浄になりにくくなり、禅定に支障を来す。
したがって多くの人が禅定の修行の難しさを嘆くならば、自らの飲食構造を点検すべきである。栄養過多になっていないかどうか。現代は物質生活が豊かで多様化し、人々は食欲や栄養に執着し、色身と美味を過度に愛惜するため、身心が清浄でなくなり、貪欲と瞋恚を制御しにくくなり、煩悩が重くなり、禅定が成就し得ず、仏法の観行と実証が極めて困難となる。このため仏教を学んで広く多聞し、理論に熟達し、雄弁であっても、内心の実証が結局成就せず、単なる知識の宗徒や理論の雑家に終わってしまう。
世尊は『楞厳経』で弟子たちに葷腥を断ち、欲心と瞋恚の心を降伏させ、道業を速やかに増進するよう求められた。しかし現代社会では物質生活が過度に豊かであるため、たとえ素食であっても同様に身心の清浄を損ない、欲心と瞋恚を増長させ、道業の速やかな増進を阻害する。これは広く仏教を学ぶ弟子たちが注視すべき点であり、修行に適した飲食構造へ自らを調整する必要がある。
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