鼻識と共にある意識心、鼻識と共に香りを識別する意識は、香りの性質・由来・種類・程度・危害の有無・自己及び環境への影響などを分別し、更に如何に対処すべきか、如何に扱うべきかを思考する。この意識の現起には多くの条件が必要である。外界の香塵(香りであれ臭気であれ、何らかの匂い)が生じなければならない。さらに意根、第八識、意識自身の種子、鼻根、鼻識などの因縁条件が具わって初めて、我々の意識心は現前し分別作用を生じ得るのである。
意識心が現前すると、この香りがどの物体から発せられたか、どの種類の香りか、その品種は何か、香ばしさの程度、臭気の度合い、我々からの距離などを了知する。そして喜びの心を生じ、厭離の心を生じ、様々な覚受を起こし、この香塵に対して分析・打算・判断・思惟・推理を展開する。これらの作用は全て意識心の働きである。意識心の生起において第八識が因となり、更に様々な縁が必要である。これらの因縁が集結して初めて意識心が出生し、その後で識別・推理・判断・思惟などの一連の心理活動が生起する。故にこの意識心は生滅を繰り返すものであり、不自在で不自主、虚妄無常なるものであって、決して真我ではないのである。
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