意根の智慧は最も肝心

八識にはいずれも慧心所が具わっておりますが、第八識の慧心所はひとまず措き、前七識の慧心所の中では、第七識である意根の慧心所が最も重要であり、修行と証得において最も決定的な鍵を握っております。これは衆生の根本的な智慧の程度を表すものであります。なぜなら、意根は六識の生起と活動を決定し、六識の一切の身口意の行いを決定し、ある程度は六識の智慧をも決定するからであります。前六識は意根に制約されておりますゆえ、意根の智慧が決定的な作用を及ぼし、衆生の生死存亡、解脱か生死の繋縛かを左右する所以であります。

仮に意根に智慧がなければ、六識にどれほど智慧があっても無益であります。六識が造る業行は意根が主宰し、どのような業種が生じるかは意根の心行によって決定され、未来世にどのような業果報が現れるかは意根の心行によって決定され、来世が生死輪廻か解脱成仏かは意根の心行によって決定されます。したがって、我見を断つ智慧も証悟の智慧も、そして一切の三昧の智慧も、すべて意根によって獲得されます。意根の智慧を離れては、修行の成果は論じられず、それは初果や初果向を含み、凡夫の段階における様々な転換も同様であります。