万法皆空、因果不空

因果もまた万法のうちの一法であり、生滅を繰り返す一時的な現象であります。いかなる因果も変化し、生じ滅することが可能で、生滅変異を有するがゆえに、因果は虚妄なる空であります。苦報を受けるにせよ、楽報を受けるにせよ、不苦不楽報を受けるにせよ、六道輪廻の報いを受けるにせよ、これらの果報を受け終われば即ち消滅し、如来蔵に蓄えられた業種も消失します。生滅を有する法は虚妄不実であるがゆえ、即ち空であります。

因果は衆生の五蘊身によって造り出され、また受け継がれるものであります。五蘊そのものが空であり、幻化不実であるがゆえ、造られる業因も生滅的で空であり幻化不実であります。受ける果報もまた空であり幻化不実であります。因果は世俗法現象界における仮象に過ぎず、衆生の如来蔵に依って生じまた滅するのであります。世出世間法において第八識如来蔵のみが不空・不生不滅・不変化・不消失であり、その他一切は生・住・異・滅を有するがゆえ、全て幻化的で空であります。

因果が報い終われば、もはや持続せず、その後新たな因果が出現し実現します。因果は生滅変異して実体なきがゆえ空であります。因果は後天的に生じた法であり、また消失終結し得るがゆえ空であります。因果が実現するその時既に、それは空幻であり、第八識如来蔵が因果律を実現しているのであります。表面上は存在するように見えても、実質は無であります。衆生は虚妄に業を造り、虚妄に報いを受け、徒然に苦しみを受けるのであります。苦そのものの虚妄性を知らず、ましてや苦因を造作することが本来虚妄であることを知らず、苦果の幻妄を知らず、苦行を造作すれば苦果があることも知りません。苦因を知らず、苦集を知らず、苦滅を知らず、苦滅道の修行方法を知らないがゆえ、衆生は無量世にわたって生死流転を繰り返すのであります。いつの日か流転が尽きた時、初めて覚醒し、業行を慎み始めるのであります。