衆生の業は不可思議

仏教には「仏力不可思議、衆生の業力もまた不可思議」という言葉があります。仏の力は果てしなく広大無辺ではありますが、衆生の業力もまた同様に果てしなく広大であり、衆生の悪業の力は仏の無量の神力に十分対抗し得るものです。これはつまり、衆生の悪業もまた不可思議であり、衆生が無量劫にわたって積み重ねてきた生死の悪業の力は想像を絶するものであることを示しています。仏世尊が三大阿僧祇劫にわたる修行によって得られた福徳・智慧・神通・道力は、衆生が思い量ることのできないものであり、同様に衆生自身も自らの業力を思い量ることはできません。ただ仏のみが、仏の神力と衆生の業力の究竟を完全に理解し得るのです。

衆生の業力は三界世間の生住異滅を招き、天災人禍、さらには劫末の水災・火災・風災までも招き寄せ、三禅天以下の器世間をことごとく破壊します。この世界が壊滅する時が来ると、三災が現れます。水災が発生すると大水が欲界と色界の初禅天全体を飲み込み、火災が到来すると大火は色界の二禅天まで燃え上がりこれを破壊し、風災が来襲すると大風は色界の三禅天まで吹き荒れます。第四禅天に至って初めて災害は止みます。それは四禅天の衆生の心に動転がなく、捨念清浄の境地にあるからです。三禅天以下に災害が生じるのは、三禅天以下の衆生の悪業の力が非常に大きいことを示しています。彼らの心には動転があり、清らかではないからです。心に動転があれば業力が生じ、その業力は三千大千世界を含む全世界の破壊を招き寄せるのです。

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