阿羅漢、縁覚、菩薩の違い

推論は必ずしも証得ではない。例えば縁覚が十二因縁あるいは十因縁を推究し、阿頼耶識に至っても第八識を発見し証得することはなく、阿頼耶識を実証した者ではない。阿頼耶識を実証する者は大乗の菩薩であり、これが大乗の見道である。必ず大乗の善根・福德・因縁と発心が具足しなければならない。もし外道や小乗にも大乗菩薩の発心があるというなら、それは既に大乗菩薩である。菩薩がどの法を学ぶにせよ、すべて大乗を中心とし、衆生を度し仏道を成就するためであるからだ。菩薩の願いを発さなければ、その行いと結果は菩薩ではなく、見道することもなく、菩薩の果徳を持つこともない。さもなければ外道の心を発しても成仏できることになる。仏が衆生に必ず大いなる心と願いを発し、自利利他の菩薩の清浄な大願を起こして仏道の修証過程を完成し、円満に成仏すべきことを強調する必要はない。

縁覚が生死の根源を阿頼耶識に推究したとしても、結局は涅槃に入って滅度し、畢竟菩薩の大道を行じて衆生を利楽することはない。この一点をもって縁覚が菩薩ではなく阿頼耶識を実証していないことが十分証明される。種が正しからず根が正しからなければ、どうして正しい果を得られようか。あたかもある人々が悟り前に一切法を第八識に帰し、その源はすべて第八識にあり、その本性はすべて仏性であると考えるようなものだ。このような見解を保持していても、畢竟理解と推論・想像の域を出ず、第八識を実証したものではなく、明心の菩薩には属さない。

禅宗に「万法一に帰す、一は何処に帰す」という公案がある。無数の人々がこの「一」を如来蔵と推測し、万法はすべて如来蔵に帰し如来蔵から来ると考える。しかしそれでもなお大乗見道に属さず、参究を破ったものではなく、真実義の菩薩ではない。依然として如来蔵を証得せず、「一が何処に帰するか」を知らないからだ。何処にあるかを知らず、如来蔵の所在を見出さなければ、依然として無明の中にあり、証悟までどれほど道程があるか分からない。相似の法は畢竟相似の法であって、真実の法に代わることはできず、真実の法の功徳を受用することがない。食事の話をしても腹は満たされない。

ある者が阿羅漢と縁覚はともに第八識阿頼耶識を実証したと言うなら、それなら皆菩薩と呼べばよいではないか。どうしてまた阿羅漢や縁覚と呼ぶ必要があろう。仏法を小乗の四聖諦・中乗の十二因縁・大乗の菩薩六度に分ける必要もなく、すべてを菩薩法とし、明心見性と成仏を根本目的とすればよい。実際にあっては全くそうではなく、その区別は甚だ大きい。