問:外道が四空定を修め、神足通を得たのに、なぜ色を見て心を動かし、神通力を失うのでしょうか。
答:淫欲心の断除は初禅定と我見を断つ証量が相まって初めて可能となり、これが三果の境地に至る者だけが成し得ます。初禅定のみ、あるいは我見を断つだけでは淫欲心を断ち切れません。故に外道は禅定と神通力を有していても、依然として色を見て心を動かし、その後禅定と神通力を全て失います。これにより、我見を断つ智慧なくして禅定のみでは、淫欲を断除できないことが分かります。
経典に記されている通り、禅定と神通力を有する者が色を見て心を動かせば、念いが生じた瞬間に神通力と禅定は退失し、来し方は飛行でも、帰りは徒歩となります。これは初果の功德を証得せず、禅定のみを修めた故です。淫欲を断つには我見を断つ初果の証得に加え、初禅定が必要であり、禅定のみでは不十分です。初果の分証解脱による功德の受用は極めて大きいものです。
提婆達多は我見を断たずに神通力を修めて天界に昇りましたが、天花を盗む念いを起こしたため神通力を失い、天から墜落しました。もし初果を証得した後、初禅定を修め神通力を得れば、それは三果の境地であり、再び念いを起こすこともなく、神通力を失うこともありません。
12
+1