父子合集経講話（210）

分段生死と変易生死

初地に証入していない者を凡夫異生と称し、初地を証得した者を聖人と申す。彼らは異生性を滅除し、生死の悪業を造作せず。生死の染汚業種を断じていない衆生は全て異生に属し、この一段の寿命が終われば次の生命が続く。ただし異なる時に、異なる場所で生を受ける。あるいは天上界に、あるいは人間界や地獄・餓鬼道に生まれる。これを異時異処に生ずると言う。初地の菩薩と凡夫異生は共に分段生死を有す。例えば人間が一世を百八十年、或いは千八百年生き、寿命が尽きれば次の世が訪れる。生死が分節的である故、分段生死と称する。初地菩薩が天界に転生すれば寿命極めて長く、人間界に転生すれば凡夫衆生と同様の寿命を有し、これも分段生死なり。願力によって畜生道に生を受ける場合も、畜生と同様に寿命短く、これまた分段生死を有す。分段生死の外に変易生死あり。所謂変易生死とは寿命極めて長きものの、如来蔵の心中に未だ生死の染汚種子が悉く滅除されず、依然として生死の業を感得し得、生死の仮相を永劫に滅除することができず。心中の生滅種子は仏地に至るまで断除され得ざる故、変易生死が存在する。