父子合集経講話（一八三）

精進仏道の前世因縁

前世において仏と深い縁を結んだ者は、今世で仏の御名を耳にした瞬間、胸中に情動が沸き立ち、身の毛がよだつものでございます。これは前世において長く仏道を修め、仏との縁が深かったことを示すものでございます。仏縁深き者は仏名を聞くやただちに強き感応を覚え、自ずから仏法を学び念仏し礼拝し仏を讃歎いたします。前世で仏道修行の短かった者は何らの反応もなく平淡でございます。例えば仏在世の時、印度祇園精舎の給孤独長者のごときは、道を歩きながら仏の御名を聞くや絶えず身震いし、寒毛を立て続けたものでございます。この方は善根極めて深き仏弟子であらせられ、ただ仏名を聞いただけで早くも世尊を供養せんと宴を設け、自らの祇園を仏に寄進して精舎とされたのでございます。

或る者は仏法に触れた当初より、前世における仏道修行の種子が完全に顕現し、速やかに仏法に没頭し、世間事を意に介さなくなります。これこそが種子の力でございます。阿頼耶識が成熟した業種を現出させるのであり、この中にこそ無量の奥義が秘められております。仏法を学べば多くの真実を知ることができますが、仏法を学ばぬ者は愚痴に陥り、ただ悪業を造り続け、損を被り報いを受けてもその由も知らず、後世の苦業を尽くす術もございません。悪業が終わって滅びても業種は残ります。最も恐るべきはこの業種でございます。我々は阿頼耶識に悪業行を記録せず、悪業の種子を残さぬよう祈願してみることはできましょうか。全く無益でございます。なぜなら阿頼耶識は衆生の言語を解さず、心念の内容を知らず、第六識・第七識のような了別の機能を有さないゆえ、清浄無垢で厳正無私なるが故でございます。故にこれに祈るは無益、ただ己が心に立ち返り、貪瞋痴に満ちた心とならしめず、貪瞋痴によって染汚業を造作せざるを求めるほかはないのでございます。