神通力を有する者は、未来世の事柄を知ることができるが、未来世の事柄の業種は未だ熟していない。如来蔵は確かに未成熟の業種を了別することができるが、意根もまた同様に未成熟の業種を了別し得るだろうか。もし意根が成熟した業種と未成熟の業種を了別できないならば、意識は如何にして未来世の事柄や未だ発生していない事象を知るのか。意識の宿命通は如何にして現起するのか。意識が了知する一切の法は、意根が先ず触れ、先に知覚し、先に覚って初めて、意識に微細な了別をさせ、意根の触れた法を知ることができる。意識の宿命通、及び夢中の意識が将来起きる事柄を知ることは、全て意根に由来し、意根の牽引によって了知される。故に意根は未発生の事象や未来世の事柄に接触し了知できると言われるが、これは第八識が業種を了別することを依りどころとして自らの了別を行うからである。
意識が事前に発生する事柄を知る例は多く、例えば地震発生前に動物が予知し、不安を示す現象がある。地震が未発生で業種が成熟・顕現していない状況で、動物は如何にして災害の到来を知り恐慌状態に陥るのか。もし意根が如来蔵に随って業種を縁としないなら、意識は如何にして業種を縁とし得るのか。人が死の直前や事故発生寸前に予感を抱く事例がある。事象が未発生で業種が顕現していない状況で、何故予感が可能なのか。意根が業種を縁としないなら、意識に何故感覚が生じるのか。夢中で数日後・数ヶ月後の事象を見て、目覚めた際に特別な事態の発生を感知する現象がある。意根が業種を縁としないなら、如何にして予知夢が可能となるのか。これらの未来事象は全て意根が先に覚知し、如何にして意識を覚知させ警戒させ、対策を講じさせるのである。
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