記憶は意識に特有の機能作用であり、意根の作意によって促される。なぜ意根は作意を起こし、意識に記憶を呼び起こすことを決定できるのか。それは意根が経験した人・事・物を記憶し、その後詳細を了別しようとするためである。それによって根塵が接触し、意識が生起して経験した人・事・物の理を回想する。もし意根が経験した人・事・物の理を了別することを縁とせず決定しなければ、意識の生起も記憶の想起もない。故に記憶は意識の機能であると同時に、意根の機能でもある。意根が記憶していなければ触れることもできず、従って回想もできない。意根は単純で大まか・粗い概括的な記憶のみを行い、意識の記憶はより詳細で明確かつ具体的である。
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