『父子合集経』講話（一三三）

理解と親証の区別

理解とは伝聞による知識に相当し、実際に目で見た事実とは大きな隔たりがあります。例えばある人についての評判を聞き、ある見解を抱き、特定の印象を形成したとしても、実際に会って観察すれば、心に抱いていた印象と完全には一致せず、直接対面した際の感覚と印象がより真実味を帯びるものです。そうして初めてその人に相応しい態度を取ることができます。真実を如実に理解し観察した後では、自らの見解・意見・考え方・行為の在り方は、単に聞いていた時とは異なるものとなるのです。

故に我々は心を以て修習を重ね、深く心の底まで浸透させ、真実をもって諸根如幻・五陰無我を観行しなければなりません。観行するとは第六識による思惟分析であり、分析後に意根にその理を引き継ぎ、意根がこの真理の真実性を認証する時に証果が得られます。もし意根が意識の思惟観行による理を認めなければ、何の役にも立ちません。意根に速やかに証得させるためには、確固たる証拠を揃え、現量観察の域に至るよう努めねばなりません。観行の過程には多くの段階があり、歩むべき道程が多く、修めるべき法も数多く存在します。絶え間なく各種の資糧と道糧を積み重ね、福徳資糧を修集し続ける必要があります。さらに戒律・忍辱・禅定・智慧といった六波羅蜜の条件を不断に円満させていくことが求められるのです。