父子合集経講話（一〇八）

死蘊と生蘊

原文：大王よ。識はその主となり、業は縁となる。この二種が相依って、初めの識が生起する。或いは地獄に趣き、或いは傍生に堕ち、琰摩羅界及び阿修羅、人若しくは天に生ず。初めの識が生じた後、各々その報いを受け、同分の心品が相続して転じ続ける。最後の識が滅するを死蘊と名付け、最初の識が起るを生蘊と名付く。

釈：大王よ、阿頼耶識は後世の五蘊身を生じる主であり、業種業力は所縁となります。この二種の因と縁が和合することにより、次世の最初の識が生じます。衆生は地獄に趣いたり、鬼道に堕ちたり、畜生の三悪道に生まれたり、あるいは阿修羅道・人道・天道の三善道に生まれます。最初の識心が生じた後、衆生は各々の業報を受け、同じ色身における識心が絶え間なく続いて運行します。命終に際して識心が滅すれば、色身は死屍となり死蘊と称し、色身に最初に生じた識心を初識とし、五蘊の色身を生蘊と申します。