(四)原文:昏昧云何。謂臥威儀位。數重睡眠。羸劣云何。謂即於此位無力速覺。損減云何。謂念慧衰退。衰退云何。謂念慧劣故。至於善法不能現行。諸根耄熟云何。謂身體尪羸。功用破壞云何。謂彼於境不復明利。諸行朽故云何。謂彼於後將欲終時。其形腐敗云何。謂壽量將盡。身形臨壞。於諸事業。無復功能。
釈:昏昧とは何か。臥す威儀の位において心が昏沈し、幾重もの睡眠に陥ること。羸劣とは何か。この状態において速やかに覚醒する力がなく、心力・行動力が不足すること。損減とは何か。心の念と慧の力が共に衰退すること。衰退とは何か。念力と慧力が劣化したため、善法が現行し得なくなること。諸根耄熟とは何か。身体が衰弱すること。功用破壞とは何か。対象に対する明快な認識力を失うこと。諸行朽故とは何か。一切の身口意の行いが衰え、まもなく命終すること。形體腐敗とは何か。寿命が尽きようとし、身体が崩壊に臨み、諸々の事業を行う機能を失うこと。
原文:此老略義者。謂依止變壞。鬚髮變壞。充悅變壞。火力變壞。無病變壞。色相變壞。威儀變壞。無色諸根變壞。有色諸根變壞。時分已過。壽量將盡。略義應知。彼彼有情云何。謂那落迦等。有情種類云何。謂即彼一切。終云何。謂諸有情離解支節而死。盡云何。謂諸有情由解支節而死。
釈:老いの大略とは、依止する身根の變壞、髪や髭の變壞、精神状態の變壞、身体の火力の衰え、健康の變壞、色身の相好の變壞、行住坐臥の威儀の衰え、無色の意根の變壞、有色の五根の變壞、生存の時分が過ぎ、壽命が盡きようとすることを指す。彼彼有情とは地獄等の六道衆生を指す。有情種類とは一切の衆生を指す。終とは有情が四肢を解して死ぬこと。盡とは有情が四肢の分解によって死に至ることをいう。
原文:壞云何。謂識離身。沒云何。謂諸色根滅。捨壽云何。謂氣將盡位。捨暖云何。謂不動位棄捨諸蘊。命根謝滅云何。謂時死。死云何。謂遇橫緣非時而死。時運盡云何。謂初死未久位。又死魔業名時運盡。此死略義者。謂若死若死法。若死差別。若死後位。是名略義。如是名為緣起差別應知。
釈:壞とは識が身を離れること。沒とは諸色根が滅すること。捨壽とは氣息が盡きようとする位。捨暖とは諸蘊が不動の位に至り捨てられること。命根謝滅とは寿命尽きて死ぬこと。死とは横縁に遭い非時に死ぬこと(横死)。時運盡とは死後間もない位、あるいは死魔の業を指す。この死の大義は、死そのもの・死の様式・死の差別相・死後の状態を含む。これが縁起の差別と呼ばれる所以である。
0
+1