識界と識界性は、いずれも得ることができない
原文:しかるにこの識界は、それぞれがそれぞれを了別し、彼彼の境を了じては、すなわち滅謝する。生ずるに来るところなく、滅するに去るところなし。大王よ、識が生ずる時は空、滅する時もまた空なり。自性離れているがゆえに、男相に住まず、また女相にもあらず。ただ言葉による表示に過ぎない。このような識界と識界性とは、いずれも得ることができない。ただ仏の正しい智慧のみが、これを了知し得るのである。
釈:この識界は、それぞれが対応する塵境を了別した後、すぐに滅していく。識界の生には来るところがなく、滅にも去るところがない。大王よ、識が生じる時は空であり、滅する時もまた空である。その識界の自性は一切の相を離れているため、空であり、男相にも女相にも住しない。ただ言葉によって示される虚相に過ぎない。したがって、識界および識界性は、いずれも得ることができない。ただ仏の無上円満なる大智慧のみが、その内涵を円満に了知し、無碍となるのである。
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