空相には来処もなく、去処もない
原文:大王。譬えば人が高原に池井を穿ち鑿つが如し。意に云う何。この池井中の全ての空相は何所より来たるか。王曰く。来る所なし。
釈:大王、譬えば人が高原の土地に井戸を掘って水を汲む時、土を取り除くとそこに空所が現れ、虚空が生じます。この池井の中の空相はどこから来たのかお考えください。浄飯王は答えました:この空相には来処がありません。
掘り出された井戸、その井戸の中の全ての空相はどこから来たのか。来処はありません。井戸を掘る毎に虚空が現れますが、空はどこから来るのか。来処はなく、物質が無いことが空であるため、空は実体ある法ではありません。もし土を再び埋め戻せば、空は消滅しますが、空はどこへ去ったのか。去処はなく、どこにも虚空が増えることはありません。土を掘って虚空が現れても、他の場所の虚空が減ることもありません。如来蔵はこの虚空のように増減せず、形相がなく遍一切処に存在する故です。
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