父子合集経講話（第四十二）

火界の種子は形も相もなし

火界の種子は形も相もなく、如来蔵そのものも形相を有さず。もし形あるものが形なき如来蔵の中に存在するならば、収めることができるでしょうか。第一に収容不可能であり、第二に仮に収容できたとしても、如来蔵自体が形あるものとなり、目で見て手で触れることが可能となるでしょう。そうなれば如来蔵を証得することは極めて容易になり、誰もが悟りを開いた菩薩となれるはずです。如来蔵は袋や器のようなものではなく、形相を持たないが故に、形ある色身を収めることはできません。しかしながら、如来蔵は色身を顕現させる力を持っているのです。まことに不可思議なことです。この不可思議さは、私たちに智慧が備わっていないからであり、智慧が具足する時には理解可能となります。仏は智慧を具えている故にこれを理解し、私たちが仏法を学んで大智慧を顕現させた時、最終的には一切の法が理解可能となり、何ら問題なく、驚くことも怪しむこともなく、また迷いや倒錯も生じなくなるのです。

実相を知らぬことが迷いであり倒錯です。万法に執着し貪愛する価値があると考えることで、生死の苦海に漂い、解脱を得ることができません。万法の真実の相を知れば、もはや迷うことなく、智慧が生じた時には真実を認識し、仮相に執着して倒錯することはなくなるのです。