(二)原文:このように説かれたが、その比丘にはなお疑念と躊躇が残っていた。先に得たという想い、獲たという想い、証したという想いがあったが、実際には証得していなかった。今や法を聞き、心に憂苦と悔恨が生じ、蒙昧なる障害に覆われた。何故か。この甚深なる法とは縁起を指し、更に倍する甚深難見の理、即ち一切の執着を離れ、愛が尽き無欲となり、寂滅涅槃に至るものである。
原文:この二つの法を為す。有為と無為なり。有為とは生じ、住し、異じ、滅するもの。無為とは生ぜず、住せず、異ぜず、滅せざるもの。これを比丘よ、諸行の苦と寂滅涅槃と名付く。因が集まる故に苦が集まり、因が滅ぶ故に苦が滅ぶ。全ての径路を断ち、相続を滅ぼす。相続が滅びて滅びたことを、苦の彼岸と名付ける。比丘よ、何が滅ぶのか。残された苦なり。それが滅び止む時、清涼し静寂に帰す。即ち一切の執着が滅び、愛が尽き無欲となり、寂滅涅槃を証することを説く。仏はこの経を説き終えられると、比丘たちは仏の説かれたことを聞き、歓喜して奉行した。
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