清浄法界と四智の解説

仏地経には、五つの法が大覚地を摂するという。すなわち清浄法界・大円鏡智・平等性智・妙観察智・成所作智である。清浄法界と後の四智はどのような関係にあるのか。

成仏後は四智が円明となる。まず第六・七識が第三転して識を智に転じ、五識は初めてかつ最後に識を智に転じ、第八識も初めてかつ最後に識を智に転ずる。意識は妙観察智に転じ、七識は平等性智に転じ、五識は成所作智に転じ、第八識は大円鏡智に転ずる。まず意識が識を智に転ずることで、本来無明煩悩を具えた染汚心から、煩悩の障りなき妙観察智へと転換する。煩悩染汚あるが故に障りが生じ、智慧の発起を阻み、観察力は粗雑で微妙ならず、智慧は浅薄となる。

意識の観察力が浅く微妙でなければ、諸法の甚深なる実相を意根に伝えて了知せしめることができず、意根の法我見は断じ難い。心中に我あれば平等性智は得られない。故に意識が先に煩悩を断じて妙観察智を具え、初めて意根が煩悩を断じ、ある程度の法無我を証得し、平等性智を獲得する。これにより衆生と自己を平等一如に観じ、仏と平等一如となり、法に高低の分け目を見ず。

第六・七識が第三転して識を智に転ずれば、究竟的に徹底的な転換が完成し、無明は断尽する。五識は成所作智に転じ一切法を成じ、第八識に含蔵されし七識の無明染汚が究竟的に断尽し、大円鏡智に転ず。ここに至って変革完成し、因地の衆生は果地の仏へと転成する。

大円鏡智にはもはや無明染汚の業種がなく、八識の心性は全て最極清浄となる。清浄心より出生する一切法界は清浄であり、六根・六塵・六識・仏国土・器世間、全てが清浄心に随って清浄となり、一点の染汚もない。心の清まる所に従って仏国土清浄となる、これ即ち此の理である。