私たちが直面しているのは真実の六塵境ではなく、無数の情報信号である

六識が接触する六塵の境界は、全て本質境から伝わる信号であり、情報とも呼ばれます。五塵境がどのような様相であれ、ブラックボックスに至る段階では全て情報となり、六識が感知するものもまた情報と影に過ぎません。しかしこれを立体的で絢爛たる塵境であると錯覚してしまうのです。その証拠はどこにあるでしょうか。目や耳が携帯電話やコンピュータで認識する情報を見れば明らかです。電子機器上の情報には文字や画像、動画、音声がありますが、これらは全て機器が受信した情報に過ぎず、実際に文字や画像、動画、音声が存在するわけではありません。

例えるなら、100人が参加するネットワークグループにおいて、各成員が携帯端末やコンピュータを通じて交流し、グループ空間の文字・画像・動画を閲覧し、音声を聴取しています。しかし各人が視聴する内容は、全て自らの勝義根というブラックボックス内の情報に属し、他者と共有されるものではありません。従って自身の端末で情報を削除しても他者に影響せず、他者もこれを感知しません。また他の成員が如何にこれらの情報を処理しようと、元の本質境には何ら影響を及ぼしません。

これらの情報は如何にして現れるのでしょうか。ある人物が自身の端末で文字を入力すると、その文字は本質境に属します。端末の媒体を通じて信号が伝達され、他の成員の端末が信号を受信し、勝義根に伝達されます。六識が生起して認識するものは全て情報であって、文字・画像・動画・音声そのものではありません。しかし六識は強引にこれらの情報を具体的な色や音声として識別します。これにより六識の了別は錯覚であることが分かります。さらにブラックボックス内の全ての法は情報と信号のみで構成され、実質的な六塵境界は存在せず、全て影に過ぎません。従って六識が了別するものは全て仮の像なのです。