夢の中の意根

夢のない眠りに入った際には、第七識と第八識のみが存在し、前六識は活動を停止します。この状態における第八識を証得すれば、牢関を突破し、生死を超越する能力を獲得することが可能となります。夢を見る時や夢遊病状態においては、第六識が依然として活動しています。夢遊病の境界を真に理解するには、まず明心を達成した上で、深遠な唯識の智慧を具え、更に意根に属する法をも証得し、意根の作用を観察できる境地に至らなければなりません。それによって初めて夢遊病の本質を解明できるようになるのです。

夢遊病と夢見は共に意根と直接的な関係を有します。夢の中で歩行する際、意根は後頭部を制御することで意識を支配し、遂には全身をコントロールします。従って夢遊病時には手足も身体も自由に動かせるのです。幼少期に夢の中でトイレを探し回り、結果として寝小便をしてしまう現象も、全て意根の作用によるものです。意根が身体内部の状態を了別し、尿意を感知すると、排泄欲求が生じ、これに応じて夢を見させ意識に処理を委ねます。もし夢を見ない場合には、直接寝床で用を足してしまうのです。

覚醒前には、意根が法塵を了別しますが、その認識は未だ不明瞭です。その後意識が再び了別を開始すると次第に明瞭さを増し、我々は覚醒するに至ります。夢の中の意識は独頭意識であり、覚醒時の意識は五倶意識です。この二者が了別する境界は異なるため、覚醒した意識が夢中の境界を必ずしも認識できるわけではありません。夢遊病の現象はまさにこの原理に基づくものなのです。