円覚経においては、修行の三摩鉢提が説かれており、定慧を結合し、心をもって境界を変化させ、心に由って境を転じ、境は心に随うと示されています。この方法は難しくなく、定の中において、心を極めて専注させて一つの境界を冥想し、定が深まるに従い、心の転変に伴って境界も次第に転じます。元来、心に悪念を抱いていたものが、定の深化と共に内面が緩和されると、悪念は善念へと転じ、悪を思おうとしても悪しきことができなくなり、一切の事物が美しく輝き始めます。心が瞋恚から喜悦へと転じれば、境界も醜から美へと転じ、心が転ずれば境界も転ずるのです。故に禅定は煩悩を降伏させ、煩悩を断除し、心念を転換させ、一切法を改変する力を具えます。諸仏や大菩薩方も皆、三摩鉢提を修め、一切法を成就し、三界の器世間を成就・転換させ、穢土を浄土へと変容させられたのであります。
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