衆生无边誓願度
煩悩无尽誓願断
法門無量誓願学
仏道無上誓願成

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日常法話

2025年09月01日    月曜日     第1開示 合計4461開示

五戒における盗戒の範囲

所有者の許可なく、自分に属さない物を取得し、自分のものではないのに占有することは、すべて盗みに該当する。窃盗の範囲は広く、他人の功徳、名誉、業績を盗む行為を含む。例えば、ある団体で甲が最も優れた人物であるのに、乙が自分こそが最優秀だと主張し、甲の名誉を占有した場合、乙の行為は甲の名誉を盗んだことになる。

明らかに甲が行った仕事を、乙が自分の成果だと主張すれば、乙は甲の業績を盗んだことになる。団体において甲が有する権限を、乙が無自覚に行使した場合、乙は甲の権限を盗んだことになる。この種の盗みは妄語とも言え、一つの身口意の行為が二つの戒律に触れ、同時に二つの罪を犯すことになる。

所有者の許可なく、個人・家庭・団体の情報を私的に流布・販売することも盗みに該当する。他人の個人情報や家庭のプライバシーを勝手に拡散したり第三者に提供することは、たとえ夫婦間であっても、相手が同意しない情報を私的に流せばプライバシー侵害となり盗みとなる。あらゆる団体の機密情報を手段を問わず取得し、無断で流布・売買することはすべて窃盗である。特に企業の技術情報、特許、人材を私的に第三者に提供したり、自ら流用したり、人材や技術を引き抜く行為はすべて盗みに該当する。他人や団体の施設に無断で監視カメラを設置し情報を窃取することは窃盗罪となる。

窃盗は物品の盗取に限らないため、物が本来の場所から離れる現象がなくとも、所有権・使用権の移転は盗みとなる。例えば会社と従業員の間で、毎日8~9時間(または所定時間)勤務、月間所定日数勤務に対し、月給・時間外手当を支払う旨の合意が成立している場合、従業員が遅刻・早退・手抜きをして実労働時間が大幅に不足しているのに給与を満額受領すれば、これは窃盗行為である。総計で会社に与えた損失が古代の五銭を超える場合は不可悔罪となるが、業績に影響がなく会社に損害を与えていない場合は窃盗とはみなされない。

逆に、従業員が勤勉に所定の業務を完遂しているにもかかわらず、会社が無断で賃金を減額した場合、会社は窃盗を犯しており、損失額が古代の五銭を超える場合は主要責任者が不可悔罪となる。社会や職場ではこの類の事例が無数に存在する。

窃盗には脱税・粉飾決算、他社からの人材・顧客の引き抜き、商談の横取り等も含まれる。脱税は国法違反であると同時に盗戒にも抵触する。国土に住む全ての国民は国家の法規制を遵守すべきであり、非仏教徒・仏教徒を問わず、世俗団体・仏教団体を問わず、所在地の法規を順守しなければならない。仏教団体や個人も例外ではない。寺院の香華料等の収益については、法律で免税対象外とされる部分の脱税額が古代の五銭を超える場合は戒律違反となる。特に経典・仏像等の三宝に関わる物品を販売する行為は三宝の売買に該当し、国法と仏教戒律の双方に違反する。


——生如法師の開示
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