盗みの内容をすべて概括し、盗みの行為をはっきりと説明した後、私たちは世の中にいったいどれだけの人が盗みを犯しているか、盗みの現象がどれほど普遍的であるかを知ることになります。仏法を学ぶ人も含まれます。ただ君子だけが盗みをせず、君子たちは非礼勿視、非礼勿聴を実践し、己の欲せざるところを人に施すことなかれを理解しています。しかし世の中に君子は何人いるでしょうか。古代の君子は身も心も清らかで、清心寡欲、名利に淡泊、世と争わず、一般的に盗みの心や行いを持たず、他人を尊重することを理解し、衆生の所有物を奪うことはありませんでした。現在多くのペット飼育者がペットの猫や犬に不妊手術を施していますが、これらはすべて猫や犬の許可を得ずに彼らの生殖権を剥奪していることになります。衆生を尊重すれば、衆生を侵害することもなく、盗みの心や行いも起こりません。自己中心的で横暴で強引な人は、しばしば衆生の利益を侵害し、いつでもどこでも侵害する可能性がありながら、自覚がないのです。
どの戒律を取り出しても非常に深く細かいものであり、条件や環境、福徳があれば、条々を守り切ることで、本当に意根の戒をがっちりと守ることができ、非法のことに関心を持たなくなり、徐々に非非法のことにも関心を持たなくなり、道業が進むのです。君子は人の好むものを奪わず。しかし今の世の中の人は貪欲が激しく燃え盛り、強がり勝ちたがり、大げさな功績を好み、自己顕示欲が強く、皆人より優れていたいと思っています。そんな人たちが衆生を奪い侵害しないでしょうか。一人ひとりが自己を際立たせようと、他人を貶める方法で自分を証明しようとし、心が十分に善良ではありません。
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