第一節 殺生戒第一
(五)原文:また内色をもってせず、非内色をもってせず、また内色非内色をもってせずして人を殺すことあり。人を殺さんがために諸々の毒薬を調合し、あるいは眼・耳・鼻・身体の傷口に塗布し、あるいは諸々の飲食の中に混入し、あるいは寝具・車輿の中に設置す。かくの如く念う「彼をしてこの故に死なしめん」と。彼がこの故に死せば、悔い返すことのできない罪を犯す。もし即時に死なずして後にこの故に死すれば、また同様に悔い返すことのできない罪を犯す。もし即時に死なず、後にこの故に死なざれば、これは中罪にして悔い返すことを得。
釈:内色を用いず、非内色も用いず、また内色と非内色の和合を用いずして人を殺害する場合がある。人を殺害せんがために毒薬を調合し、あるいはその者の眼・耳・鼻・身体の患部に塗布し、あるいはその者の飲食に混入し、あるいは寝具・車輿の中に設置し、同時に「このようにして毒殺させよう」と念じる。もしその者がこれにより死亡すれば、優婆塞は悔い返し得ざる殺人罪を犯す。もし即時に死なず後にこれが原因で死亡すれば、同様に悔い返し得ざる罪となる。もし即時に死なず、後にこれが原因で死亡しなければ、優婆塞は中程度の悔い返し得る罪を犯す。
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