非自然性・非因縁性とは何でしょうか

楞厳経において仏は、一切の法は自然に存在するものではなく、因縁和合によって生じるものでもなく、如来蔵の性が顕現したものであると説かれています。例えば山の樹木について、もし自然に存在するのであれば、自然に滅するはずであり、滅した後再び生じるでしょうか。そうではなく、多くの樹木は人為的に植えられたものであり、人為的でない部分であっても自然に存在するのではなく、地球の出現に伴い漸次現れたものです。

では樹木は因縁和合によって存在するのでしょうか。それも違います。表面的には樹木の発生が人為的な植樹、灌漑、施肥、日光照射などの因縁和合によって生長したように見えますが、実際にはそうではなく、これらの因縁法は虚妄であり、生滅変異する実体のない作用です。真実の作用は如来蔵にあり、如来蔵が五大種子を和合させて成り立たせています。五大種子がなければ樹木は存在せず、樹木の細胞微粒子さえ現れません。外界のこれらの因縁法も如来蔵の七大種子の和合によるもので、実体ある因縁法は存在しません。よって樹木は如来蔵の性質を具え、衆生が樹木を見る時、それは如来蔵の見性・仏性の妙用であり、妙真如性そのものです。

宇宙器世間は諸法の一部であり、宇宙器世間が最初に生起した時、いかなる因縁や助縁がその出現を促したでしょうか。存在せず、器世間の生起を助ける法は見当たりません。例えば地球の漸進的形成において、形成以前には地球を形成する助縁となる法は存在せず、形成過程においても同様に助縁となる法は存在しません。よって地球の出現は非因縁性であり、宇宙器世間の形成も非因縁性です。

では宇宙器世間の形成は自然性なのでしょうか。自然性の概念定義を考察する必要があります。いわゆる自然性とは自ずから存在し、外界の影響を受けず、常住不変で不生不滅であるべきです。例えば地球の存在が自然であるならば、過去に存在せずある時点で漸次形成されるべきではなく、後天的に形成されれば自然ではなくなります。形成後時間を経て徐々に退化消滅するのも同様に不自然です。宇宙器世間にも始まりと終わり、生滅去来があるならば、それは自然性ではありません。

以上より、宇宙器世間は因縁性でも自然性でもありません。では何性か。全て如来蔵性です。器世間の生滅、生住異滅は全て如来蔵によるもので、如来蔵の七大種子がその中に形成されます。生は如来蔵の生、住は如来蔵の執持、異は如来蔵の変、滅は如来蔵の種子退転であり、故に宇宙器世間乃至諸法は全て如来蔵の特性です。

或いは因縁法・縁起法も諸仏菩薩が説かれた正法であると主張する者もいます。確かに正しいですが、それは一定範囲内での正しさであり、修行初期段階における正しさです。範囲を超え修行初期を過ぎれば、真実究竟と執着すべきではありません。因縁法・縁起法は世俗諦であって未だ究竟ではなく、究極的には仮法・空法・方便法に属します。究竟の法は大乗了義法、般若と唯識法であり、最も了義究竟なのは唯識法です。唯識は到岸の法です。因縁法の位置付けは大乗楞厳経を基準とし、小乗・中乗を基準としません。小乗と大乗が対立する場合、完全に大乗に帰依し、究竟の法門と義理に帰依すべきです。小乗・中乗は段階的法、過渡的法であって到岸の法ではなく、用いて証した後は捨てるべきで、究竟と執着してはなりません。最も究竟な到岸の法である唯識でさえ、実証後は捨てるべきで、岸に上っても背負い続けてはなりません。心中に一法でも存在すれば空尽しておらず、心が空尽しなければ真の解脱を得られません。