法界不増不減の意味

増減なしという言葉には幾つかの意味がございます。法界におけるすべての衆生の如来蔵の総数に増減がないこと（如来蔵は数を論じるものではありませんが、帰属するものがあり共用ではないため、数を以て表現するのは方便であります）、如来蔵の体性・機能・作用が聖人において増えず凡夫において減らないこと、如来蔵の七大種子の数量に増減がないことです。法界の六根に増減なく、法界の六塵に増減なく、法界の六識に増減がありません。色・受・想・行・識の五蘊にも増減がありません。現象界は幻の如く化現するもので実体性がないため、元より増減がなく、幻の生滅は究竟的に得られない故に増減なく、一切の法は因縁和合によるもので実体として存在せず、元より生ずることも滅することもない故に増減がないのです。

諸法無生を観察するには、大海と波の喩えが理解の助けとなります。波は確かに激しくうねり瞬時に変化しますが、いかに変化しようとも大海の水であることに変わりはなく、大海は永遠に増減なく生滅しません。波が生じては消え、消えては生じても、全体として波を見るならば大海においては生滅も増減もないに等しいのです。このように法界を理解することは大変智慧あることで、意識の智慧ではありますが、それでも結構なことです。観行と実証を導くことができるからです。

如来蔵に増減なく、意根にも増減がありません。無量の化身、無量の六識身はすべて如来蔵と意根に統摂されます。化身もまた衆生ではありますが、現象に増減はあれど本性に増減なく、本体は増減しません。化身も衆生ではありますが、意根の報身に統摂されねばなりません。意根の報身は唯一無二である故に、化身もまた増減がないのです。

衆生が衆生たる所以は、八識を含む一連の道具を具えていることによります。色身を含めることもできますが、主として意根と如来蔵、特に第七・第八識を主とします。第七・第八識に増減がなければ化身も増減しません。法身は如来蔵、報身は第七識である意根、化身は前六識です。諸仏菩薩の化身がいかに多くとも、すべて法身と報身に依って存在し、法身と報身に帰属するもので、単独では化身を持つことができません。化身単独では衆生と見做されず、自在自主性がない故に、化身もまた増減がないのです。総じて、法界に増減はありません。