観想の効果をより高めるためには、やはり直接的な対象があることが最善です。実物に触れ、参照できることが最良であり、現量体験に近く、無理な想像を要しないため、心力を節約できより容易です。つまり、独頭意識が実際の五塵境から離れて単独で観想するのは困難ですが、触れられる実物があれば五識と五倶意識も観想に加わり、現実に近づくため事が容易に感じられ、観想の効果がより顕著かつ迅速に現れます。
例えば観像念仏において、目の前に実際の仏像がなければ独頭意識の想像に頼るしかなく、大変な労力を要し強い定力が必要です。定力が明らかに不足している時は、心力を節約するため眼前に参照用の仏像を置くべきです。そうすれば五識と五倶意識が観想に参加し、より現実的で力強くなり、定力向上に繋がります。観想の修行が次第に向上すれば、最終的に独頭意識のみで観想できるようになり、自然に佳境に入れるでしょう。
また任脈を観想で通す場合、定力不足時には独頭意識で仏光などを肺から丹田・海底輪へ照射するよう想像するのは困難で、意識が散漫になりがちです。むしろ手掌を任脈に当て、手の平から光を放ち内臓器官を照射し、肺から下方へ灌ぐか、仏光が手掌から内臓に入るよう観想すれば、臓腑を通し任脈を暢通させ、身体を速やかに調えます。病気を除く観想も同様で、患部に手を当て光を照射し、六識(身識と五倶意識)を手掌の動きに同調させ触覚を強化すれば、的を絞った省力的な効果が得られます。要するに、六識の補助で定力を強化し、最終的に十分な定力を得てから独頭意識のみで段階的に観想境界に入るという原理により、成功しやすくなるのです。
19
+1