観無量寿経 第八観

原文：諸仏如来は、これ法界身なり。一切衆生の心想の中に入る。是の故に汝ら、心に仏を想う時、この心は即ち三十二相・八十種随形好なり。この心は仏を作り、この心は仏なり。諸仏の正遍知海は、心の想いより生ず。是の故に応当に一心に念を繋げ、諦かに彼の仏、多陀阿伽度・阿羅訶・三藐三佛陀を観ずべし。

釈：これは観像念仏の方法を紹介したものである。第七観より観像念仏を修め、修成した後は、仏像が心中に自ずから現れ出る。これは臆想でなく、仏像自らが現出したものであり、定慧等持の三昧の境地である。身心が観像念仏三昧の中にあり、以て明心して悟りを証する。第七観は仏の坐す蓮華座を観じ、第八観は仏像を観る。初めは意念の方式で像を観るが、禅定力と慧力が具わった時、三昧が現れ仏像自らが眼前に現れ、独頭意識に見えるが、他人には見えない。この仏像は形有り相有る像であり、五蘊身を備えた仏像である。観像念仏とは仏の五蘊報身を観じて、仏の法身を証することである。

故に衆生が心に仏を想う時、仏像は衆生の心中に出現する。仏像は衆生の心が念い出し、想い出し、感応し出したものであり、衆生の心が変化して現れたものである。この仏像は即ち如来の法界身であり、五蘊・十二処・十八界を具え、三十二相八十種の随形好を具足する。像は心より生ず。どのような心があれば、どのような像が現れ、どのような像が現れれば、どのような心があるか。心と像は一如である。もし衆生の心が念念に五欲六塵・色声香味触・財色名食睡であり、念念に六道中の事であれば、衆生は即ち六道生死の衆生像となり、心と像は一致し、心と境界は相合する。衆生の心が善ならば像も善く境界も善く、衆生の心が悪ならば像も悪く境界も悪い。同様に、衆生が心に仏を想い念ずれば、衆生は即ち三十二相八十種の好を具えた如来仏となる。正に衆生の心が仏を作り得るが故に、衆生の心は即ち仏である。

仏の十大名号の一つに正遍知と称するものがあり、正しく誤りなく一切の法を知り、一切智を具足することを指す。十方諸仏が集まり同時に現れることを正遍知海と称する。もし衆生の心が十方諸仏を念ずれば、正遍知海は衆生の心の中より出生する。例えば念仏三昧が現れた時、十方諸仏が面前に立ち、正遍知海が出生するが、自身の独頭意識に見えるのみで、他人には見えない。諸仏は全て衆生の心想より出でたものであり、心外に仏は存在せず、心を離れても仏は無い。故に衆生は一心に仔細に彼の仏像を観じ、雑思乱想を交えず、世間の妄想を夾雑すべきでない。世間を妄想すれば世間が現れ、仏は現れない。仏を見て悟りを開かんと欲すれば、一心に仏を念じ仏を観ずべきである。