原文:かくのごとく、先には未だ善く観察せざりしが、今は善く作意し、方便を以て観察し、微妙なる慧をもって、四聖諦に能く正しく悟入す。即ちこの慧に於いて、親近し修習し、多く修習するが故に、能縁と所縁が平等平等となり、正智が生ずる。この生ずるが故に、涅槃を愛楽するを障碍する所有の粗品現行の我慢を断ずること能う。
釈:従来はまだ四聖諦を詳しく観察していなかったが、今は意識を集中し適切な方法で観察し、微妙な智慧によって四聖諦の理を正しく如実に悟り入るべきである。この微妙な観察智慧に親しみ修習し、重ねて修習するゆえんによって、能縁の智と所縁の法が平等平等となり、正智が生じるのである。正智が生じたことにより、涅槃を愛楽することを妨げる一切の粗重な現行する我慢が断除される。
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