意根の本性とはどのようなものか

净和の体験：ある日、私は椅子に座ってヘッドフォンで大悲咒を聴いていた。聴いているうちに眠ってしまった.........夢は見なかった。その時「目の前」（実際は方向感覚がなく、当時は「方向感覚がない」と自覚していなかったが、広大な宇宙の中にいるかのようだった）の暗闇に何か動きを感じ、好奇心が湧いて原因を知りたくなった。するとその動きが光の点となった。「私」（当時は自我の概念がなかった）は光に向かって進み続けた。

光に触れた瞬間、意識が生じ、あの「動き」が実はヘッドフォンの大悲咒の音声だと理解した。（その時突然気付いた：何かが身体から脳に入り、五感が機能し始めたのだ。）それから意識発生前の状態を振り返ると、まるで物心つかない子供や小動物のようだった。何か動きがあるとすぐ誘惑され、少しも反省する能力がなかった。

評：睡眠時の「目の前」は実際の眼前ではなく、意根が対応する法である。この時、眼識と意識は滅していなくても極めて微弱で、前後の方向感覚がなく、意根は法を明確に認知できないため、広漠とした空間に感じる。好奇心を起こして光に向かうのはまさに意根であり、これは意根が法を縁じようとするが「私が法を縁じる」と自覚せず、自我への感知力が弱いためである。大悲心の音声を縁じた時も明確に弁別できず、ただ光明を感じる。大悲咒には加持力があるため、あたかも光のようである。

意根が大悲咒の音声を縁じ、かすかに光を感じ始めた時、微弱な意識が現れ、意識がこれを大悲咒の音声と弁別した。意識が音声を弁別した時、意根は既に光（音声）が脳に入るのを感じ、意識は瞬時に理解した。この時五識が現れ、はるかに清醒した。清醒後、意識は先程の過程を回想し、意根が子供のように定力がなく、現れる動きに従って好奇心でついて行く、非常に純朴で幼稚、かつ敏捷で、事あるごとに反応する様子を感じた。もちろん意識による回想も、意根が先程の事柄を理解しようとして意識に回想させたものであり、意識発生前の事柄を回想するには、意根が情景素材を提供しなければならない。意識（つまり我々）はようやく先程何が起こったかを理解できるのである。

この一節はまさに意根の心の状態を正確に描写している。純粋で幼稚で原始的、自制力がなく、意識の監視と牽制を必要とし、意識の督促と先導を必要とする。意根に対するこの如実なる描写をよく体得し、意根の特性を味わい、意根の体性を深く理解すべきである。