父子合集経講話（一四八）

大王。いささかなる法もこの世より他世に至ることはない。なぜか。性は生滅するがゆえに。大王。身識が生ずる際には来るところなく、滅するに去るところなし。かの業が生ずる際にも来るところなく、滅するに去るところなし。初識が生ずる際にも来るところなく、滅するに去るところなし。なぜか。自性が離れているがゆえに。かくのごとく了知せよ。身識は身識として空なり。自業は自業として空なり。初識は初識として空なり。滅するも滅は空なり。生ずるも生は空なり。業の転変を了知し、作者なく受者もなし。ただ名相のみありて、分別を顕わす。

釈：仏は説きたまう。大王、いかなる法もこの世から来世へ流転することはない。なぜか。一切法の自性は生滅を続け、常住不変ではない。臨終に五陰が滅する時、一切法はことごとく滅する。大王、身識が生起する時、来処なく、滅する時も去処なし。業を造作する時、業行に来処なく、滅する時も去処なし。来世の最初の識心が生起する時、来処なく、滅する時も去処なし。

なぜ一切法に来処も去処もないのか。一切法は一切の性を離れ、一切法の自性には一切の相なく、自体の性は空にして了不可得であるから。このように身識を了知し、身識の自性空を了知せよ。このように自らの識が造作する業行を了知し、業行の自性空を了知せよ。このように初識を了知し、初識の自性空を了知せよ。このように一切法が生ずればその生は空なり、滅すればその滅は空なりと了知せよ。同時に業行の造作と流転に作者なく受者もないことを了知せよ。一切法はただ仮相と名相の分別によって顕現されるにすぎない。