禅定は苦行でしょうか、それとも楽行でしょうか

問：禅定は苦行か楽行か。

答：自ら禅定を修めた者なら誰でも知っている。修定中の苦楽、行住坐臥における禅定中の苦楽、禅定から出た後の心の苦楽、結跏趺坐で腿が痛くて堪え難い時の心の苦楽も。この問題は極めて単純で、実際に修定すれば、その楽しさ・心地良さ・愉悦・歓喜がどれほどのものか自ずと分かる。多くの人が世俗の享楽を捨てて専ら禅定の楽しみを追求する所以である。禅定の楽しみは世のあらゆる快楽とは比べものにならない。特に初禅に至れば、その楽しみは言葉で明確に表現し尽くせず、経験した者だけが体得できる。この特別な快楽によって人間の欲楽が制御され、世間法への貪欲が断たれるのである。三禅に至れば身心の楽しみはまさに捨て難く、故に四禅の発起を妨げる。修定の楽しみは実際に修行した者なら誰もが体験し感得するもので、多くを語る必要はない。

禅定を苦行と説く者は、修定経験のない者が想像で「煩悩を抑えねばならず苦痛に違いない」と思い込み、心に苦悩を感じているだけである。実際には煩悩は無理に抑制するものではなく、自然と起こらなくなる。身心が軽安で愉悦暢快となり、心境が開けば煩悩は現れず、全てが好ましく思え、些事に拘らなくなり、心量は広大に、思想境界は高まる。

もし禅定が苦痛なら、古代の外道たちが世俗を捨てて専修したり、四禅八定の非想非非想処定まで修めたりはしない。快楽があるからこそ執着が生じる。古の仙人たちも深山で一心に禅定し、不老不死を求められた。現代の各種修行法も皆修定の法であり、そこには人をして捨て難からしめる快楽がある。故に禅定は苦行ではなく、絶対の楽行なのである。