凡夫が耳に捨てる声を聞く時も業を造るのでしょうか。
原文:仏は王に告げたまわく、然り然り。愚かなる異生凡夫は、耳に捨てる声を聞きて、義趣を達せず、軽慢毀呰し、痴業を造作す。身三、口四、意三の業をなす。最初に造作するや、即ち滅謝す。この業滅し已りて後は、東方・南西北方・四維上下・中間に依らずして住せず。最後の際、命根滅する時、自らの分際の業報は皆ことごとく現前す。あたかも夢覚めたるが如く、夢中に聞きし未了義の句を憶うがごとし。
釈:仏は説きたまわく、大王よ、まことにその通りです。愚かな異生凡夫は、耳根に好き嫌いのない声を聞き、その中の真の意味を了達せず、軽慢や誹謗の言行を生じ、愚痴の業を造ります。身体においては殺生・盗み・淫行の悪業を、口においては悪口・両舌・綺語・妄語の悪業を、心においては貪・瞋・痴の意業を造ります。悪業を造った後、刹那に滅します。滅した後、業行は東西南北四維上下や中間に依らず、跡形もなく消えます。しかし最後に命根が尽きる時、この一生で造った業報が全て現前します。あたかも夢から覚めた後、心に夢中で聞いた意趣の分からぬ文句を憶えているように。
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