一切法の虚妄を証得すれば三悪道の業は消滅する
一切の法は生ずるに来処なく、滅するに去処なし。何となれば、その本性は一切の法を離れているが故なり。初めの識が生ずるに来処なく、滅するに去処なし。造る業行に来処なく、去処もなし。業を造り果報を受ける法もまた虚妄なり。虚妄ではあるが、苦を感じ、苦を感じるもまた偽りの幻の覚受なり。
この一切の法の生滅する時、阿頼耶識は常に我々に随い、背後にあって主導の作用をなす。これ不生不滅の真実存在の法なるが故に、もしこれなければ一切の法も一切の虚相も存在せず、これ実相の心体なり。虚相の法は実相に依って存在す。万法の中、阿頼耶識のみは実相の法にして真実なり。他の一切の法は虚妄なり。地獄に往って報いを受くるもまた虚妄なり。もし地獄にありて真に地獄の空なる幻化たることを知れば、地獄の業は消滅し、地獄より出づ。もし地獄の虚妄たるを知らず、地獄を実有と認めれば、無明滅せず、地獄に在りて苦を受け続く。真に業行の虚妄たるを証得し、一切の法が虚妄たるとき、三悪道の業は消滅す。証得せざれば、三悪道は心に未だ実有と存し、なお三悪道に往って報いを受くべし。
悟りを開く時もまた同様に、一切の法が空なることを知る。すべて阿頼耶識の変現する所にして、ただ阿頼耶識のみ空ならず。かくして三悪道の業も消滅し、三悪道に堕ちて悪報を受けず。もし三悪道の業を空ならず実有と認めれば、果を証得せず、悟りも開けず。三悪道の業行が仮なるを知れば、三悪道は無く、業行は作用せず、ただ三悪道の業を人間界の果報に転じ、人間界にて苦を受く。
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