父子合集経講話（一二〇）

大王よ、いささかの法もこの世より他世に至ることはありません。なぜならば、本性は生滅するものだからです。大王よ、身識が生じる時、来る所なく、滅する時も去る所がありません。その業が生じる時、来る所なく、滅する時も去る所がありません。初識が生じる時、来る所なく、滅する時も去る所がありません。なぜなら、自性が離れているからです。このように了知すべきです。身識は身識として空、自業は自業として空、初識は初識として空。滅すれば滅は空、生ずれば生は空。業の転変を了知し、作る者なく、受ける者もなく、ただ名相のみが分別によって顕現するのです。

釈：仏は説かれた。大王、いかなる法もこの世から来世へ流転することはない。なぜか。一切法の自性は生滅を続け、常住不変ではないからである。臨終に五蘊が滅する時、一切法はことごとく滅する。大王、身識が生起する時、来る所なく、滅する時も去る所がない。業行を造作する時、業行に来る所なく、業行が滅する時も去る所がない。来世の最初の識心が生起する時、来る所なく、滅する時も去る所がない。

なぜ一切法に来る所も去る所もないのか。一切法は一切の性を離れ、一切法の自性には一切の相がなく、自体が空で了不可得だからである。われわれはこのように身識を了知し、身識の自性が空であることを了知すべきである。このように自らの識心が造作した業行を了知し、業行の自性が空であることを了知すべきである。このように初識を了知し、初識の自性が空であることを了知すべきである。このように一切法が生ずればその生は空であり、滅すればその滅は空であることを了知すべきである。同時に業行の造作と流転には作者もなく受者もないことを了知し、一切法はただ仮相と名相の分別によって顕現するに過ぎないことを悟るべきである。