父子合集経講話（一一二）

五蘊世間の一切法一切業行は生滅して虚妄なり

五蘊世間の一切法は全て生滅するものであり、識心は生滅し、色身は生滅し、識心と色身が造作する一切の業行も同様に生滅する。これらの法は皆空であり、種子は刹那に生じ、また刹那に滅し、色身と識心は刹那に生滅して幻化の如く実体無し。特に臨命終時には全て消滅し、刹那の生滅現象すら消失する。これこそ五蘊の虚妄性を明示し、後世に持ち越せる法は一つも無きことを証す。

一切の業行の造作には造作者無し。識心に自主性無く幻化なるが故に、色身も幻化にして自主性無し。身心共に幻の如く、故に幻の身心は業行を造作し得ず。一切の業行の流転にも受報者無し。識心は幻化にして空、自性無く故に受報主に非ず。色身は幻化にして空、自性無く故に受報主に非ず。一切の色法は相、一切の識心は名、皆実質無く、ただ識心の分別によって顕現する仮相に過ぎず。

世間の財色名食睡も同様に自性空にして幻化不可得なり。今世に生を受くる時、前世の名声を持ち来たらず。前世に国王や大臣を為したとも、今世において地位や権勢は何一つ持ち来たらざりき。前世の親族眷属、財産も何一つ持ち来たらず、今世では改めて奮闘し、財色名食睡を求むべし。今世滅する時、一生をかけて蓄積した財色名食睡、親族眷属等の一切は消失し、来世に持ち越せるもの一つも無し。五蘊と識心すらも来世に流転せず、作主識の意根を除き全て尽き果てん。