まず分別心を離れることは、死人を意味するものではない。この分別心とは意識心を指すが、意識心を離れる状況には様々な形態が存在する。最も日常的で普遍的な例は睡眠時であり、この時分別心は消失するが、人は生死を超越せず存命している。しかし意識分別心を離れると多くの行為が不可能となり、日常生活を営めず事を誤る結果を招く。この状態は死人と大差なく、甚だしい障害を伴う。
日常反復する動作は意識心による分析思考を経ずとも、迅速直接的に遂行可能である。例えば歩行時に足を上げる順序を思考せず、食事時に自然に口を開くなどが挙げられる。しかし意識がなければこれらの慣れた行為さえ不可能となる。故に神通力を有さぬ者にとって意識の機能は極めて重要である。多くの場合、意識は分別していないように見えながらも、了別性は常に作用し続け、衆生は様々な身口意の行いを為し生存を可能にしている。
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