問題に遭遇して即座に口をついて出る現象からは、意根の働き、すなわち意根の心所法を観察することができます。意根にはどのような心所法があり、どのような心理作用が即答を引き起こすのでしょうか。もし質問を受けて即座に回答できる場合、それは自らが問題を熟知し慣れ親しみ、過去に頻繁に接していたため、改めて考察や思惟を必要としないことを示します。この「自ら」こそが意根であり、反応の速い人の意根は当該事柄について経験智を有し、意識の分析を借りる必要がないのです。
逆に、意根が不慣れであるか、経験がなく智慧による弁別を欠く場合、事態や問題に直面すると意識を用いて自ら思惟分析を行い、その後意根がその結果に基づいて判断を下す必要が生じます。この過程では即答や即解決ができず、意識による思惟過程を経て、意根が意識の思惟結果に基づいて結論を導くため、意根単独では思量し判断を下す智慧が不足していることを示しています。
慧とは、意識による即時の考察分析を通じて得られるものであり、意識が情報を探り得る範囲に依存するため、真の智慧とは称し得ません。
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