証道の後の雨相を観る

問：悟りを証得した後は雨の相を見ても、心に自然と雨の相がなく、雨が降っていると知りながらも執着しないのでしょうか。悟り以前では容易に執着しがちで、別のことに心を移すか、この雨に注意を払わない限りは。凡夫の元々の体系はカメラのように、心の念にフィルムを残すようなものです。

答：所謂「着せず住まざる」とは、雨の相や一切の相に直面する際の内面の修養でなければなりません。相を避ける行為は、まさに相に着せず住まざる境地が得られていない証左です。悟後の三賢位の菩薩が雨の相を見れば、やはり雨の相に着しますが、以前よりは軽微になります。初地から徐々に雨の相に着せぬ境地に至り、八地菩薩に至って初めて真に雨の相及び他の一切の相に着せなくなります。

故に悟後は真如に転依すべきであり、初地菩薩になって初めて真の転依が語れるのです。六識・七識が転識得智したことが、真如に転依した証です。八地菩薩はその大半を転依しますが、未だ究竟ではありません。地前の菩薩が転依を唱えても、煩悩がある故に転依成就は不可能であり、真如に煩悩はありません。六・七識は真如の心性に似ているでしょうか。全く似ていません。染汚が重い故です。転依の誓願が初地になって初めて一部相応します。未悟の者が転依を唱えるのは全くの空念仏で、己が面目も見極められぬまま転依を称え、拠り所なき者が何を頼りとできましょうか。己は己を持ち上げられず、如来蔵と因果によって持ち上げられる必要があるのです。