解深密経原文:「世尊よ、このシャーマタ(止)とヴィパッサナー(観)は何を因とするのか。善男子よ、清浄なる尸羅(戒)と、清浄なる聞思によって成る正見を以て因となす。世尊よ、このシャーマタとヴィパッサナーは何を果とするのか。善男子よ、善く清浄なる戒、清浄なる心、善く清浄なる慧を以て果となす。さらに善男子よ、一切の声聞及び如来ら、すべての世間及び出世間の善法は、皆このシャーマタとヴィパッサナーによって得られる果であることを知るべし」
釈:問:世尊、止観の前提条件は何でしょうか。世尊は答えられた:善男子よ、止観の前提は清浄な戒行を保ち、清浄な仏法における正知見を具足することである。この基盤の上にこそ、心を止めることができ、心を止めて初めて観を起こすことができる。
問:止観を修めるとどのような果を得るのでしょうか。世尊は答えられた:止観が成就した後、心は三昧の中に安住し、戒行は自然に一層清浄となる(禅定力が明確に増長する故)。智慧は更に清浄となり(如実智を得る故)、戒・定・慧がより精進し清浄となる。仏は説かれた:善男子よ、一切の声聞・縁覚・菩薩・如来という四聖、及び世間・出世間の全ての善法は、この止観によって成就されるのである。
故に、戒を保たず正知見がなければ止を得られず、止がなければ観はなく、止観がなければ戒定慧も成就されない。そうなれば声聞・縁覚・菩薩・仏の四聖果も、一切の善法の功徳も存在し得ないのである。
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