虚空蔵菩薩は、即座に立ち上がり、仏足を頂礼し、仏に申し上げました。「私と如来は、定光仏の御許において無辺の身を得ました。その時、四大宝珠を手に執り、十方の微塵仏刹を照らし明かして虚空と化しました。また自心に大円鏡を現じ、内に十種の微妙な宝光を放ち、十方の虚空の果てまで流れ注ぎました。諸々の幢王刹が鏡内に入り来たり、我が身に融け込みました。身は虚空と等しく、互いに妨げることはありません。微塵の国土に善く入り、広く仏事を行い、大いなる随順を得ました。この大いなる神力は、四大の無依を諦観し、妄想の生滅を観じ、虚空に二つ無く、仏国が本来同一であることを悟り、この同一性より無生忍を得たことに由ります。仏が円通を問われたので、私は虚空の無辺を観察して三摩地に入り、妙なる力が円明であることを証し、これが第一であると申し上げます。」
【解釈】虚空蔵菩薩が自らの修行法門を紹介されました。定光仏の御許で無辺の身を得られたのです。「無辺の身」とは、虚空蔵菩薩の色身が虚空と同等の広大さを持つことを意味します。虚空の広大さがそのまま菩薩の色身の広大さであり、十方世界を包含する故に「虚空蔵」と称されます。この無辺の身でありながら四大宝珠を手に執り、十方微塵仏刹を照らすことが可能です。四大宝珠が放つ光明は無量無辺の仏国土を照らし、それらを虚空と化します。これは諸仏国土が縁起によって幻の如く存在し、実体無きことを智慧をもって観じた故です。
さらに自心より大円鏡を現じ、十種の微妙宝光を放たれました。この光明は十方虚空を遍く照らし、諸々の幢王刹を鏡内に映し出します。十地菩薩の神力により、これらの仏刹は虚空蔵菩薩の色身に融け込み、虚空と一体となって妨げることなく、微塵の国土に自在に入り仏事を成じます。菩薩の色身は虚空そのものとなり、あらゆる存在を包容するが如く、大円鏡の光明は十方世界を遍く照らし、如来蔵より現じた真実の境地を顕します。
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