夜中に眠りにつき、六識が滅した時、部屋が火事になっても、意根が逃げようと望んでも、どうすればよいか。意根のこの考えは、身根の協力がなく、六識の配合もなければ、如何なる手段をもってしても実現できません。故に意根の智慧が劣っているから何もできないのではなく、何かを為すには必ず工具が必要であり、工具がなければ無能の如き状態に陥るのみなのです。
意根がこのような緊急事態に直面すれば、急いで覚醒して意識に火事の状況を了別させ、五識と共に避難するはずです。意根が焦れば独頭意識が先に現れ、独頭意識では明確に了別できぬため五倶意識に転じ、五識も続いて現れ、こうして覚醒します。意識が事態の緊急を了別すれば避難を決断し、意根が同意した後、五陰身を主導して色身を門外へ走らせるのです。
覚醒の際、意識は鼻識と共に生起します。煙の臭気が強ければ鼻識が他識に先立ち生起します。次に眼識・身識・耳識・舌識が現れ、五識の生起には順序があり、どの塵が強烈であれば対応する識が先に生起します。火の光が強ければ眼識が、室内が過熱すれば身識が、火音や叫び声が大きければ耳識がそれぞれ先に生起します。
危急の際、身体動作は極めて迅速で、意識が考える暇もなく危難を回避します。もし緊急時に意識が了別し思惟するのを待っていれば、人は危険に遭うでしょう。この時意識の役割は五識と共に意根の指示に従い迅速に行動することです。意根は危急の際非常に機敏に働くのです。
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