仏陀は午後不食戒を守られたでしょうか

ある人々は戒律で仏を縛り、午後の食事を摂らない戒律を守らせ、夜だけでなく午後も仏に供物を捧げない。なぜこのような者たちが諸仏菩薩をそう扱うのか。凡夫衆生は仏菩薩の境地を理解せず、戒律の本質的な意味を把握していないからだ。仏菩薩を自分と同じ凡夫、それも人間の凡夫と見做し、仏菩薩も人間衆生と同じように午後の食事を摂らない戒律を守るべきだと思い込んでいるのである。

仏陀が当時この戒律を制定したのは、修行者が心を清浄に保ち、飲食の妨げを受けずに継続的に修行に励み、散乱や昏沈の状態に陥らず修行を続けられるようにするためであった。しかしこの戒律は仏陀や諸大菩薩には当てはまらない。たとえ仏菩薩が人間界で人身をもって世に住んでいても、この戒律に縛られるべきではない。第一に仏陀は修行する必要がなく、第二に仏陀には無量の道行があり、飲食を自在に変化させることができる。食事を摂らなくても良く、無量に摂っても身心に影響はない。だが仏陀が当時人間界で午後の食事を摂らなかったのは、衆生に模範を示すためであった。一方、天人の前では仏陀は午後の戒律に縛られず、時と場所を選ばず天人の様々な供養を受けられた。

諸仏菩薩が人間界にいない時、その仏国土では太陽光を昼夜の境界とせず、他の仏国土の一分間は娑婆世界の人間の数日に相当する。では人間の朝夕の時間を他の仏国土の時間にどう対応させるのか。欲界の忉利天以上の天界には太陽が存在せず、自然の光明が現れているため太陽光を必要としない。よって忉利天以上には闇夜がなく、他の仏国土にも闇夜は存在しない。仏の世界に夜という概念はない。人間の午後の食事を摂らない戒律は時空が変われば全く意味を成さない。故に供仏に際して人間界の昼夜などの時間を考慮する必要はない。

さらに言えば、諸仏菩薩には飲食の有無や量、時機を計らう無量の智慧がある。凡夫の智慧でどうして諸仏菩薩の行いを推測し制限できようか。故に供仏に時間制限はなく、仏の境地には時間が存在せず朝夕の区別もない。仏は衆生が福徳を積むために布施を受け、自らは何も必要としない。仏には戒律による制限もなく、無量の智慧と徳能によって既に戒律に縛られる必要はない。人間衆生は天人や神人、諸仏菩薩に人間の習性や習慣を求めてはならない。

人間の思考は人間の生活範囲に制限され、人間を超越した衆生や仏菩薩の境地を理解できない。我々仏教徒は人間の狭隘な思想や境地、様々な習慣を突破すべく努めるべきである。人間は二本足で歩くが、天人は空中を飛ぶ。飛行できる天人に人間の歩行規則を適用すべきでなく、ましてや人間凡夫の規則で諸仏菩薩の心行を制限してはならない。人間は諸仏菩薩と比べれば赤子の如く、諸仏菩薩の心行や境地を理解し想像することはできない。故に様々な誤解や不理解が生じるのである。我々は心量と視野を広げ、凡夫の狭隘で理に適わず幼稚な思想を突破し、より高次元の生命の思想境地と行動規範に近づくよう努めるべきである。