心が境に随って転ずるとは、外部の境界が内心に影響を及ぼし波立ちが生じることで、その原因は一つには定力が不足しているためであり、もう一つは智慧が足りず、眼前の境界を正しく理にかなった方法で認知分析できないためです。人は自らの心に従順であることを最も好み、その心が善であれ悪であれ、自らに順うものは喜び、自らに背くものは苦と感じます。自己の内面の感受に過度に執着するがゆえに、人や事物に対する判断を誤りがちです。同じ人物に対しても時に良しと感じ、時に悪しと感じるのは、全て自己の心的感受から出発しており、客観的で公正な視点に立っていません。これは我々の心識の虚妄性と境界の虚妄性を示すもので、それらは常に変化し続ける状態にあり、永遠不変のものではありません。つまりそれは真実ならざる法、頼りにならぬ法であり、我々はこれらのものに完全に依存すべきではなく、さもなければそれらが滅び去る時、どうしてよいかわからぬ状態に陥るのです。
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