世尊曰く:「諸の滅尽定を得て寂したる声聞。此の会中の摩訶迦葉の如し。久しく意根を滅して円明に了知す。心念に因らず。」
滅尽定は四禅八定の上の九次第定なり。滅尽定の中にては、六識を滅尽するのみならず、意根の受と想の二つの心所も滅去せられたり。然れども、意根には作意、触、思の三つの心所が尚作用せり。もし意根の五つの遍行心所が悉く滅去せられば、則ち肉身もなく、前七識もなく、ただ第八識一つを留む。是れ即ち無余涅槃に入るなり。滅尽定に入れる四果の大阿羅漢は、六識と意根の受想心所法を滅却するが故に、受覚なく、六塵に対する取着性なく、心は寂止を得たり。只三つの心所法のみ残るに拘わらず、大迦葉は此の三つの心所法を用いて、一切法を円明に了知し、六識の功能作用に代わりて、障碍なし。六識の念心所なく、意根の念心所もなく、心念を動かすことなく、意根は一切法を円明に了知す。
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