如来蔵の智慧の境地

如来蔵には地水火風の四大種が存在し、それらを異なる比率で分配し、根身器界を構成します。地種が多く分配され比率が高ければ、物質は堅性を帯びます。水種が多く比率が大きければ、物質は柔軟で湿性を呈します。火の成分が多ければ物質は熱量を有し、風の成分が多ければ物質は軽軟で流動性を備えます。故に如来蔵が我々の骨格・爪・髪・筋肉・腱を造る際、地種を多く分配します。その量を如来蔵は知っていますが、我々は知りません。

その時には未だ「我々」という存在はなく、如来蔵の創造に依存しているからです。意識心も未だ生起しておらず、仮に現在意識があろうとも、依然としてこの事を知ることはできず、無明の状態にあります。ただ如来蔵のみが業種を弁別し、この事柄を知っています。その他の水・火・風種の分配量も同様に把握しており、教示や指示を待つことなく、全ては業種の弁別を通じてこれらの行為の方法を知るのです。血液・脳髄・脊髄を造る際、如来蔵は水種を多く分配し、他の種を適切な比率で配分します。これら全てを如来蔵は知悉しています。

いつ何を創造するか、ご存知です。どの部位に何を造るか、ご存知です。形状や色彩、人型・畜生型・非人型の別、これらを全てご存知です。いつ識心が生起するか、ご存知です。胎児が完成し出産すべき時を、ご存知です。出生後の色身五陰の一切の事象とその変化を、全てご存知です。成長の過程と最終形態を、全てご存知です。病の発生時期を、ご存知です。老衰の相が現れる時を、ご存知であり、知った後は老衰の相を現出させます。死の時を、ご存知であり、死に臨む兆候を顕現させます。

色身を離れる時期も、どのような中有身を生じるかも、衆生がどの趣に転生しどの父母と縁を結ぶかも、全てご存知です。我々の知らぬ事柄を、全てご存知です。宇宙器世間の創造方法を、ご存知です。山川河海・花草樹木の生成を、ご存知です。宇宙器世間の崩壊時期とその様相を、ご存知です。知らざることはありません。我々自身を省みれば、実に無明以外の何ものでもありません。これが如来蔵の智慧境界です。一切の法に迷うことなく、一切の法を覚知し、一切の法を念じ、一切の法を変化させ、一切の法を現出させます。その機能と徳用は無量無辺であり、成仏して初めてこれらの法を悉く了知するに至るのです。