衆生は受陰を我とし、受陰に執着するが故に、内心の感受に基づいて貪愛と瞋恚を生じ、無量無辺の罪業を造ります。もし受陰を我とせず、受陰に執着せず、快い感受に貪着せず、逆縁の感受を厭わなければ、貪愛と瞋恚が生じることもなく、悪業を造ることもなく、自らも気付かぬままとなるのです。
娑婆世界の衆生が最も顕著に示す特徴は、貪欲・瞋恚・愚痴であり、欲界人間に最も普遍的な煩悩は貪欲です。仏法を学び因果を知り、貪欲が生死に沈淪する禍根であると理解していても、業障が深重であるが故に、依然として貪欲を降伏することができません。在家であれ出家であれ、一切の煩悩を降伏することは、あまりにも困難なことです。無量劫の生死にわたる熏染の中で、習気が根深く固着しており、微塵ほども揺るがすことが難しいからです。
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