富楽自在の原因
原文:かくの如き富楽。種々の厳飾。皆は無辺称王が。広大なる善根福力を積み集め。獲得したる所なり。また彼の宝荘厳城の周囲には、さらに八万四千の清浄なる林園あり。一々の園中に八つの大池あり。其の池各々広さ半由旬。一々の池岸に四階陛あり。四宝を以て成り、巧妙に厳飾せり。八功徳水、其の中に充满し、諸色の蓮華、開敷して弥(いよいよ)布き、其の池岸にはさらに諸々の花、アティモーカダ花、チャンパカ花、ヴァーシキ花、スマナ花、アショーカ花、マーラタ花、かくの如き種々の妙なる香花あり。無辺称王は諸臣民と共に園中に止住し、共に遊楽せり。
釈:このような富貴妙楽の種々の厳飾は、全て無辺称王が過去世に広大な善根福徳力を積み集めたことによって獲得したもので、これらは全て何の根拠もなく享受できるものではない。その宝荘厳城の周囲には八万四千の清浄な林園があり、各園には八つの大池がある。各池は半由旬の広さを持ち、各池の岸辺には四宝でできた階段があり、四種の宝で巧みに飾られ、八功徳水が満ち、色とりどりの蓮華が咲き乱れている。池の岸辺にはさらにアティモーカダ花、チャンパカ花、ヴァーシキ花、スマナ花、アショーカ花、マーラタ花など、様々な妙なる香花がある。無辺称王は臣民たちと共に園中に住み、共に遊楽している。
原文:大王よ。彼の王宮城は高く広く厳かに優れ、宝多羅樹が列を成して植えられ、宝網が周遍し、宝鈴が調和して鳴り、妙なる音響を発す。五楽の声の如し。時に彼の人民は、王の徳化に頼り、富楽自在に安穏として住せり。
釈:仏は説かれた。大王よ、無辺称王の王宮城は高く広く荘厳華麗で、宝多羅樹が列を成して植えられ、宝網が宮城を覆い、宝鈴が調和して妙なる音声を奏でる。五種の楽器が合奏する音のようである。当時の人々は無辺称王の福徳による教化に頼り、富楽自在で安穏な生活を送っていた。
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